スキマバイトから正社員に登用された場合の源泉徴収と年末調整の取扱い
- yasuda-cpa-office
- 12 分前
- 読了時間: 3分
おはようございます!代表の安田です。
1.スキマバイト増加で「丙欄給与」が身近に
近年、「スキマ時間に働く短期バイト(スキマバイト)」が広がっています。日雇いや単発勤務のため、これらの給与は原則として源泉徴収税額表(日額表)の丙欄で税額を計算します。
扶養控除等申告書を提出していない:丙欄・乙欄
扶養控除等申告書を提出している:甲欄
丙欄給与は1日9,300円未満なら源泉徴収不要
この「丙欄給与」で働いていた人が、同じ会社で正社員(甲欄)になったり、別の会社に就職したりするケースが増えており、年末調整での扱いに注意が必要です。
2.同じ会社でスキマバイトから正社員になった場合
スキマバイト先の会社でそのまま正社員として採用され、扶養控除等申告書を提出した場合には、給与区分が「丙欄」から「甲欄」に変更されます。
このときのポイントは次の通りです:
年の途中で「丙欄給与」→「甲欄給与」に変わっても、同一会社での支給分は合算して年末調整の対象
源泉徴収票の摘要欄には、日雇時代の給与を特別に記載する必要なし(同一社内で完結)
(例)
A社でスキマバイト(日雇い勤務) → 途中からA社で正社員に登用
➡ A社が「丙欄給与+甲欄給与」を合算して年末調整を実施
この場合、源泉徴収票の「支払金額」「源泉徴収税額」の欄に両者を合計して記載する形式が示されています。
3.別の会社に正社員として転職した場合
スキマバイト先の会社(A社)とは別の会社(B社)で正社員として採用された場合は、A社分とB社分は別々に処理する必要があります。
B社の「甲欄給与」はB社で年末調整対象
A社の「丙欄給与」はB社では年末調整の対象外
A社とB社の給与を合算した確定申告が必要
(例)
A社:スキマバイト(丙欄) → B社:正社員(甲欄)
➡ B社で年末調整、A社分は本人が確定申告で合算申告
B社の源泉徴収票にはB社の甲欄給与のみ記載し、A社分は摘要欄に記載しない旨が示されています(確定申告で一括計算)。
4.複数のスキマバイト先のうち1社に就職した場合
さらに注意が必要なのは、複数のスキマバイト先がある場合です。
たとえばA社・B社・C社の3社で日雇い勤務していた人が、途中でC社の正社員に登用された場合――
C社の丙欄給与+甲欄給与はC社で年末調整対象
A社・B社の丙欄給与はC社での年末調整対象外
A社・B社分を含めた確定申告が必要
C社の源泉徴収票に「丙欄給与+甲欄給与」を合算して記載し、A社・B社分は確定申告で処理することが明示されています。
5.まとめ:スキマバイトから正社員になったときの年末調整対応
ケース | 年末調整を行なう会社 | 確定申告の必要性 |
同じ会社で正社員に登用 | 同一会社で年末調整 | 不要 |
別会社に就職 | 就職先の会社のみ年末調整 | 必要(前職分) |
複数社でスキマバイト → 1社で正社員 | 就職先の1社で年末調整 | 他社分は確定申告 |
6.税理士からのコメント
「スキマバイトから正社員登用」という雇用形態の多様化により、同一年内で丙欄・乙欄・甲欄が混在する給与支給が増えています。
会社側としては、年末調整時に
扶養控除等申告書の提出時期
日雇い時代の給与データの管理
別会社への転職者への源泉徴収票交付
を適切に行なうことが重要です。
従業員本人にとっても、確定申告で所得を正確に合算しなければ、還付漏れや追徴課税のリスクが生じる可能性があります。
スキマバイトや短期雇用から正社員に切り替わる場合は、「どの会社が年末調整を行うのか」を早めに確認しておきましょう。


コメント