「経過リース期間定額法」適用には届出が必要
- yasuda-cpa-office
- 2 日前
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おはようございます!代表の安田です。
2025年度の税制改正(令和7年度改正)により、リース資産の償却に関するルールが大きく見直されました。特に、所有権移転外リースにおける残価保証額の取扱いが変わることで、これまで償却できなかった部分も含めた減価償却が可能になります。
そのための選択肢として新たに登場したのが「経過リース期間定額法」です。
今日はこの新しい償却方法の概要と、適用のために必要な届出について解説します。
■従来の取扱い:残価保証額は償却できなかった
これまで、所有権移転外リースの資産に設定される「残価保証額」は、リース期間定額法での減価償却の対象外とされていました。つまり、契約終了時の残価が保証されている分は償却できず、損金算入の対象から除外されていました。
■新制度:残価保証額も償却対象に
令和9年4月1日以後に締結される所有権移転外リース契約については、残価保証額を控除せず、リース期間全体で均等償却することが可能になります。これにより、リース資産の「取得価額全体」を償却対象とすることができ、最終的には備忘価額まで償却できるようになります。
■経過措置も用意:旧契約にも適用可能
この新ルールは、新契約だけでなく、令和9年3月31日以前に締結された既存契約にも、経過措置を通じて適用可能です。これが「経過リース期間定額法」です。
この方法を選択すると、残価保証額を控除せず、残りのリース期間で償却を続けることができます。
■適用には届出が必要
ただし、この経過措置を適用するためには、税務署への届出が必要です。以下の点に注意してください:
届出期限:経過措置を受ける事業年度の法人税申告書の提出期限まで
届出書には、対象資産の種類などの情報を記載する必要があります
届出しなければ、従来通り「残価保証額は償却不可」の取扱いが継続
また、保有する対象リース資産のすべてに適用することが必要で、一部のみの選択はできません。
■中小企業も対象
この制度は、大企業だけでなく、中小法人であっても対象資産を保有していれば適用可能です。新会計基準の対象外であっても、制度上の恩恵を受けられる点は重要です。
■まとめ
リース資産の償却方法が見直される今回の改正は、資産管理や税務戦略に影響する重要なポイントです。特に、残価保証付きのリース契約を多数保有している企業にとっては、減価償却の見直しによる節税効果が期待されます。
ただし、経過措置の適用には期限内の届出が必須です。制度の理解と早めの準備がカギとなりますので、ご不明な点がある方は、ぜひ当事務所へご相談ください。


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