第1回)新リース会計基準の全体像
- yasuda-cpa-office
- 9月8日
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おはようございます!代表の安田です。
今週は新リース基準に関してのシリーズを書いていきます。
1. なぜ今、基準が変わるのか
2007年に整備された従来基準(企業会計基準第13号)は当時の国際基準と整合的でしたが、その後IFRS16(2016年)と米国基準Topic 842(2016年)が登場し、借手はほぼ全リースを資産・負債としてオンバランスする世界に移行しました。
日本も国際比較可能性や財務情報の透明性を高める観点から、「使用権モデル」を採用する新基準(企業会計基準第34号、適用指針第33号)を2024年9月に公表しています。
2. 基本方針の要点(借手)
単一モデル(IFRS 16型):ファイナンス/オペレーティングの区別にかかわらず、借手は使用権資産(ROU)とリース負債を計上し、減価償却費+利息の形で費用化します
貸手会計は大筋従来踏襲(第3回で詳述)
3. 適用範囲と主な除外
原則、契約名称にかかわらずリースに関する会計処理・開示に適用。
ただし、公共施設等運営権、収益認識基準の知的財産ライセンス(一定条件下)、鉱物・石油・天然ガスの探査/使用権などは除外。無形資産のリースは適用しない選択可。
4. 「リース」の定義と識別(実務で最初に迷うポイント)
定義:原資産の使用権を一定期間、対価と交換に移転する契約(借手・貸手双方に適用)
支配の判断
経済的利益のほとんどを享受できるか
使用方法を指図できるか
契約の分離:リース部分と非リース部分の区分・配分(独立価格ベース)、借手側の例外選択や維持管理費用相当額の扱い。
5. リース期間(借手)
解約不能期間に延長を行使することが合理的に確実な期間を足し、解約を行使しないことが合理的に確実な期間も加算して決定。「合理的に確実」はmore likely than notより高く、virtually certainよりは低い水準の“高めの閾値”として説明されています。
6. まとめ(第1回)
借手は原則すべてオンバランス(ROU+リース負債)
リースの識別・区分・期間決定が出発点
貸手は概ね従来踏襲だが、整合や例外の見直しあり。次回は、借手の測定・仕訳・実務簡便法を具体例つきで解説します

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