TPMは一般市場を目指す企業が集う成長ステージ市場へ
- yasuda-cpa-office
- 1 日前
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おはようございます!代表の安田です。
東京証券取引所は2025年11月13日、「第24回 市場区分の見直しに関するフォローアップ会議」 を開催し、TOKYO PRO Market(TPM)の今後の方向性について案を提示しました。
近年、TPMへの上場を目指す企業が急増していることから、市場としての位置付けを明確化し、“一般市場上場に向けた成長ステップとしてのTPM”という新たなコンセプトが示された点が大きな特徴です。
1.TPM上場企業が5年でほぼ4倍に
TPMは2009年に開設された、特定投資家向け(プロ向け)市場です。
特徴は次の3点です。
上場基準に厳格な形式要件がなく、柔軟な制度設計
上場適格性は J-Adviser(証券会社・コンサル等) が審査
適時開示制度を前提としつつも一般市場より負担が軽い
記事によると、TPM上場企業は過去5年で4倍弱の158社に増加(2025年11月20日現在)。背景には、企業側の利用増だけでなく、J-Adviserの新規参入や、市場としての認知度向上があります。
2.グロース市場の上場維持基準が2028年から大幅厳格化
グロース市場では、2030年にかけて基準が強化されます。
現行基準(10年後・時価総額40億円以上)→ 改定後(5年後・時価総額100億円以上)
これにより、グロース市場を目指していた企業が、まずTPMを目指すケースが増加
していると報告されています。
実際、TPMから一般市場に鞍替えした企業は、約200社中 15社。中央値は:
TPM上場 → 一般市場上場まで 2年1か月
時価総額:11億円 → 20億円へ約2倍成長
と、成長ステージ市場として機能している実態が示されています。
3.TPMは「一般市場上場とその後の成長を目指す企業が集う市場」へ
市場コンセプトの再定義
東証は本会議で、TPMの位置付けを以下のように整理する案を提示しました。
「一般市場上場とその後の成長を目指す企業が集う市場」
単なるプロ向け市場ではなく、上位市場への育成市場としての役割を強調しています。
加えて、次のような市場機能強化案も議論されました:
マーケット本来の機能(資金調達・株式流動性)の向上
上場企業の知名度・信用力向上のサポート
投資家にとって一般市場上場候補企業を選別できる利点の明示
TPMの明確なコンセプトづけにより、企業側もTPMを上手く活用しやすくなることが期待されます。
4.グロース市場の今後の対応
会議では、グロース市場関連のアップデートも報告されました。
12月中に上場維持基準に関する規則改正を予定
2026年初頭、グロース企業の「事業計画・成長可能性」を一覧化した特設ページを開設予定
これにより、投資家は企業の成長ストーリーを横並びで比較しやすくなり、成長株市場としての透明性が向上する見通しです。
公認会計士の視点:TPMの“活用メリット”と“注意点”
TPMは、これまで “プロ向けで小さな市場” というイメージが強かったものの、今回の方向性案によって、明確な成長ステージ市場として再定義されつつあります。
企業がTPMを活用する際のポイントは以下のとおりです:
【メリット】
1.一般市場より上場しやすい
形式基準が緩いため、成長途上企業でも上場を目指しやすい。
2.上場効果による企業価値向上
TPM上場後、時価総額が約2倍に伸びた中央値が示すように、上場を契機としてガバナンス整備・IR強化が進みやすい。
3.一般市場上場の“実質的な準備ステージ”
IPO前の内部統制強化やガバナンス整備を段階的に進められる。
【注意点】
1.J-Adviserの適切な選定が必須
上場審査の実質的なハブとなるため、質が企業価値にも影響。
2.グロース市場より開示負担は軽いが、適時開示の厳格性は求められる
TPM=“規制が緩い”との誤解は禁物。
3.一般市場を目指す以上、内部統制整備は避けて通れない
早期に会計・法務・内部統制の体制整備が重要。
まとめ
東証がTPMを「一般市場上場と成長を目指す企業の市場」と位置付けたことは、IPOを志向するベンチャー企業にとって大きな追い風です。
一方で、J-Adviserとの連携やガバナンス整備など、一般市場を見据えた体制構築の重要性も増しています。
当事務所では、
TPM上場準備(IPO準備)
内部統制・ガバナンス整備
財務報告体制の構築支援
一般市場IPO支援
など、ステージに応じた支援を提供しております。
ご相談があれば、お気軽にお問い合わせください。


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