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AI・暗号資産ビジネスの監査は"いつも通り"が通用しない

  • yasuda-cpa-office
  • 14 分前
  • 読了時間: 4分

おはようございます!代表の安田です。


AIや暗号資産(ブロックチェーン)を活用したビジネスは、収益の稼ぎ方・取引証跡・管理主体が従来型と異なり、監査の難易度が一気に上がります。


こうした状況を受けて、日本公認会計士協会(JICPA)は、AI開発企業の会計不正問題等を背景に、2026年度からAI・暗号資産関連の被監査会社を持つ監査法人へのモニタリングを強化する方針を示しました。


本日は、公認会計士の立場から、企業側が“監査を受け切る”ために整えるべきポイントを解説します。


1. 何が公表された?「専門性ある監査チーム」が求められる

JICPAは、登録上場会社等監査人に対して、上場会社等の属性に応じて監査証明業務について十分な知識・経験を有する公認会計士を関与させる体制整備を求めるとしています。


AI・暗号資産などの新技術を用いるビジネスでは、従来の監査で培った知識や経験をそのまま使えず、有効な監査手続の計画・実施ができないおそれがあるとも指摘されています。


さらに、昨年の適時開示でも、暗号資産事業に参入した上場会社で、監査人が専門知識不足等を理由に退任すると公表したケースが複数あったとされています。


2. 監査の最重要論点は「収益認識の不正リスク」

特に留意すべき点として挙げられているのが、収益認識に関する不正による重要な虚偽表示リスクの識別・評価です。


JICPAは、過去の経験にとらわれず、企業のビジネスモデル等を正しく理解することが重要とし、具体的には以下が有用としています。


  • 会社における収益認識に関する会計基準の適用状況を評価

  • 収益認識の5ステップに従い、契約や履行義務の識別等を検討


実務上の示唆:AI・暗号資産ビジネスの監査では、まず「売上がどう成立するか」の説明と証拠の提示ができないと、監査計画が立ちません。企業側が“説明可能な形”に整備しておくことが、監査の安定稼働に直結します。


3. 企業側が整えるべき「監査に耐える3点セット」

ここからは、上場企業・上場準備企業・スタートアップが、すぐに実務で使える形で整理します。


(1)ビジネスモデルと収益の契約を一枚で説明できるか

  • 顧客は誰か(法人/個人/プラットフォーム/マーケットプレイス)

  • 提供するサービスは何か(AI利用料、SaaS、トークン発行、取引手数料 等)

  • 対価は何で支払われるか(法定通貨、暗号資産、ポイント等)

  • 返金・キャンセル・ポイント失効・バーンなど「変動」要素は何か


監査では、これを収益認識の5ステップに落とし込んで検証します。

説明資料がなければ、監査側は「不正リスクが高い」と判断しやすくなります。


(2)取引証跡の“突合”ができるデータ設計になっているか

AI・暗号資産は、取引証跡が分散しがちです(アプリログ、外部決済、ブロックチェーン、取引所、カストディ等)。監査でよく求められるのは、例えば次の突合です。


  • 受注(契約)→提供(ログ/利用実績)→請求→入金

  • ウォレット残高 → 取引履歴 → 会計帳簿残高

  • トークン移転(オンチェーン)→ユーザー台帳→収益計上/費用計上


これができないと、監査手続が拡大し、スケジュール遅延や追加コストの原因になります。


(3)“鍵管理・権限管理”を含む内部統制の説明ができるか

暗号資産を扱う場合、資産そのものの管理(秘密鍵、マルチシグ、カストディ委託、権限)をどうしているかは、財務報告リスクに直結します。

「誰が、どの権限で、どの手順で、何を承認して動かせるのか」を文書化しておくと、監査対応が格段にスムーズになります。


4. 監査人の“退任リスク”を下げるために(上場準備企業ほど重要)

専門知識不足等を理由に監査人が退任する事例が複数みられたという状況は、企業側にとっても現実的なリスクです。


退任・監査法人交代は、上場準備では特にインパクトが大きく、スケジュールや投資家説明にも影響します。企業側としては、次の予防策が有効です。


  • 監査開始前(or早期)に「取引類型一覧」「収益認識メモ」「データ突合表」を提示

  • 専門性が必要な論点(暗号資産評価、収益認識、プラットフォーム取引等)を棚卸しし、監査側と合意形成

  • 重要な判断(会計処理、見積り、評価方法)は、意思決定プロセスと根拠を残す


まとめ:AI・暗号資産の監査は「収益認識×データ×統制」が勝負

JICPAは、AI・暗号資産ビジネスを持つ企業の監査において、従来の知識・経験が通用せず、有効な監査手続が組めないおそれがあると指摘し、監査チームの専門性や体制を点検するモニタリングを強化する方針を示しました。


企業側としては、

  • 収益認識(5ステップ)に落ちる説明資料を用意する

  • 監査で突合できるデータ設計

  • 鍵管理・権限管理を含む内部統制の文書化を先回りで整備する


これらが監査の安定とスケジュール順守につながります。




神戸 公認会計士 決算支援 開示書類作成

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