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食事支給の非課税限度額が引上げへ

  • yasuda-cpa-office
  • 12 時間前
  • 読了時間: 5分

おはようございます!代表の安田です。


令和8年度税制改正では、企業の福利厚生実務に影響する見直しとして、食事の現物支給に係る所得税の非課税限度額の引上げが予定されています。


今回の改正は、役員や従業員に対して会社が食事を提供している企業にとって、実務上かなり重要なテーマです。特に、社員食堂の運営、仕出し弁当の補助、福利厚生制度の整備などを行なっている会社では、給与課税の判定や社内規程の見直しが必要になる可能性があります。


非課税限度額は現行の月額3,500円以下から月額7,500円以下へ引き上げられる予定で、令和8年4月1日以後に支給する食事から適用される見込みです。


物価上昇が続くなかで、従業員の食事補助を手厚くしたいと考える企業は少なくありません。今回の見直しは、そうした企業の福利厚生施策を後押しする内容として注目されています。


食事支給は原則として給与課税される

まず前提として、会社が役員や従業員に食事を提供した場合、その経済的利益は原則として給与等として課税対象になります。もっとも、食事の提供には福利厚生としての性格もあるため、一定の要件を満たすときは、給与課税しなくてよい取扱いが認められています。添付資料では、この非課税の要件として、次の2点が示されています。


1つ目は、役員又は使用人から実際に徴収している対価の額が、食事の価額の50%相当額以上であることです。2つ目は、食事の価額から本人負担額を差し引いた残額が、一定額以下であることです。


現行ではこの一定額が月額3,500円以下とされており、これが今回の改正で月額7,500円以下へ引き上げられる予定です。


つまり、会社が食事代を全額負担していれば当然に非課税になるわけではなく、従業員本人の負担割合と会社負担額の上限の両方を確認する必要があります。


令和8年度改正で何が変わるのか

今回の改正で大きいのは、やはり非課税限度額の倍増に近い引上げです。現行の月額3,500円という基準では、昨今の食材費や外食価格の上昇を踏まえると、実務的に使いづらい場面も少なくありませんでした。改正後は月額7,500円以下となる予定であり、企業がより柔軟に食事補助制度を設計しやすくなると考えられます。


また、資料によれば、適用時期については令和8年4月1日以後に支給する食事が対象とされています。税制改正大綱では時期が明確でなかったものの、国税庁が早めに考え方を公表したことで、新年度開始に向けた準備がしやすくなったといえるでしょう。


深夜勤務の夜食代も見直し予定

今回の見直しは、現物支給の食事だけではありません。深夜勤務に伴う夜食について、会社が現物支給に代えて金銭を支給する場合の非課税限度額についても、引上げが予定されています。1回の支給額につき現行300円以下から、改正後は650円以下に見直される予定とされています。こちらも令和8年4月1日以後に支給する金銭から適用される見込みです。


深夜勤務が発生しやすい業種、たとえば運送業、製造業、医療・介護、宿泊業、警備業などでは、この改正の影響は比較的大きいと考えられます。夜食代の支給ルールが曖昧なままだと、福利厚生費として処理していたつもりが給与課税の問題につながるおそれもあるため、制度改正を機に社内運用を点検しておきたいところです。


企業が今のうちに確認しておきたい実務対応

今回の改正を受けて、企業としては単に「上限額が上がる」と理解するだけでなく、給与課税の要件を満たす運用になっているかを確認することが重要です。


まず確認したいのは、従業員から徴収している自己負担額です。食事の価額の50%以上を徴収していなければ、たとえ会社負担額が新しい限度額の範囲内であっても、非課税扱いができない可能性があります。したがって、食事補助制度を見直す際には、「会社がいくら補助するか」だけでなく、「本人がいくら負担するか」という設計が欠かせません。


次に、福利厚生規程や社内ルールの整備です。資料でも、新年度から早速適用されることを踏まえ、会社側で事前対応が必要になる点が示されています。現物支給の方法、対象者、自己負担額の計算方法、深夜勤務時の夜食代支給基準などは、できるだけ社内文書で明確にしておくと実務上安心です。


さらに、経理処理と給与計算の連携も重要です。福利厚生費として処理している食事補助が、税務上は給与課税の対象となるケースもあり得ます。人事・総務・経理が別々に運用している会社では、制度の実態と給与計算の設定が一致しているかを確認しておく必要があります。


中小企業にとってのメリット

今回の食事支給の非課税限度額引上げは、大企業だけでなく中小企業にとってもメリットがあります。人材確保や定着率向上の観点から、給与そのものを大きく増やすことは難しくても、食事補助や夜食代補助といった福利厚生は比較的導入しやすい施策です。非課税枠が広がれば、従業員の実質的な満足度向上にもつながりやすくなります。


また、インフレ環境では、従来の3,500円基準では十分な補助制度を設計しにくいという声もありました。その意味でも、今回の見直しは現場実務に即した改正といえます。


こんな会社は要チェック

今回の改正は、特に次のような会社で影響が出やすいでしょう。

  • 社員食堂を設けている会社

  • 弁当代補助を行なっている会社

  • シフト勤務や深夜勤務がある会社

  • 採用強化の一環として福利厚生を拡充したい会社


こうした企業では、制度設計次第で従業員の満足度向上と税務リスク管理を両立できる可能性があります。


一方で、制度の運用が曖昧なままだと、後から税務調査で給与課税の指摘を受ける可能性もあります。とくに、食事の価額の計算方法や自己負担額の徴収実態が不明確な場合は注意が必要です。


まとめ

令和8年度税制改正では、会社が役員・従業員へ支給する食事の非課税限度額について、月額3,500円以下から7,500円以下へ引き上げる予定であり、令和8年4月1日以後に支給する食事から適用される見込みです。さらに、深夜勤務に伴う夜食代の金銭支給も、1回300円以下から650円以下へ見直される予定です。


今回の改正は、福利厚生の充実を図りたい企業にとって追い風となる一方で、非課税要件を満たすための実務設計はこれまで以上に重要になります。


本人負担額の設定、福利厚生規程の整備、給与計算との整合性確認を早めに行い、改正後の制度を適切に活用していくことが大切です。




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