青色専従者給与を必要経費とするための注意点
- yasuda-cpa-office
- 8月4日
- 読了時間: 3分
おはようございます!代表の安田です。
個人事業主の方が配偶者や親族に給与を支払っている場合、一定の要件を満たせば「青色事業専従者給与」として必要経費に算入することが可能です。しかし、この制度には誤解されやすいポイントがあり、対応を誤ると過大な経費算入として税務調査の対象となるリスクもあります。
今回は、青色専従者給与の必要経費該当性に関する重要な注意点を解説いたします。
青色専従者給与とは?
個人事業者が、同一生計の配偶者や親族を事業に従事させる場合、一定の要件を満たすことで支払う給与を必要経費とすることができます(所得税法第57条等)。
具体的には、以下のような条件が求められます
労務の内容・期間に照らして相当な金額であること
税務署に「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出していること
労務に実際に従事していること
この届出書の提出が制度利用の前提であり、提出していない場合はどれだけ給与を支払っていても経費算入は認められません。
給与の変更と届出における落とし穴
実務上よくあるのが「給与金額を変更したとき」の対応です。青色専従者給与の金額を変更する場合、変更後の金額を反映した「変更届出書」を所轄税務署に提出する必要があります。
この届出を提出したことにより、税務当局は以下の点を総合的に確認する可能性があるとされています:
変更後の金額の妥当性
差額分だけでなく、変更前の金額も含めて、過去に提出した届出内容全体の妥当性
例えば、青色専従者給与を年間103万円から160万円に引き上げた場合、増額分の57万円だけでなく、元の103万円の妥当性まで改めて審査される可能性があるというわけです。
仮に、過去の金額についても「労務の対価として過大」と判断されれば、遡って必要経費として否認されることもあり得ます。
税務調査で指摘されないために
青色専従者給与の取扱いにおいて重要なのは、「労務の実態に即した金額であること」が常に求められているという点です。
勤務実態の記録(日報・業務日誌など)
業務内容と報酬の整合性
他の従業員等とのバランス
などを意識し、変更時には適切な説明や証拠資料の整備も行うことが望ましいでしょう。
まとめ
青色事業専従者給与の制度は節税効果が高い一方、税務署への届出やその内容の妥当性が問われる制度です。特に給与額の変更時には、過去の金額まで遡って検討されることがあるため、注意が必要です。
当事務所では、青色申告者の方への給与設定や届出のサポートを含め、税務リスクを回避するためのアドバイスを行なっています。ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。


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