top of page

税制改正)賃上げ税制は「縮小・整理」の段階へ

  • yasuda-cpa-office
  • 2 日前
  • 読了時間: 3分

おはようございます!代表の安田です。


物価上昇や人手不足を背景に、近年強化されてきた賃上げ促進税制について、令和8年度税制改正では、制度全体を見直す方針が示されました。


今回の改正は、

  • 賃上げ水準が一定程度定着してきたこと

  • 租税特別措置は「真に必要なものに限定する」という政策方針

を踏まえたもので、企業規模によって影響が大きく異なる改正となっています。


■改正の全体像

今回の見直しを一言でまとめると、「大企業・中堅企業向けは廃止、中小企業向けは縮小しつつ継続」です。


適用期限の整理

  • 大企業向け:2026年(令和8年)3月31日までに開始する事業年度で終了

  • 中堅企業向け:2027年(令和9年)3月31日までに開始する事業年度で終了

  • 中小企業向け:2027年(令和9年)3月31日までに開始する事業年度まで適用(継続)


特に大企業・中堅企業にとっては「出口を意識した対応」が必須となります。


■大企業向け賃上げ税制の見直しポイント

大企業向け制度は、適用期限をもって廃止されます。

これに伴い、

  • 給与等の増加割合に応じた税額控除

  • 教育訓練費の増加に係る上乗せ措置

  • 認定制度(くるみん・えるぼし)による加算

といった仕組みも、すべて終了します。


今後は、賃上げをしても税額控除による直接的な税務メリットは得られなくなる点に注意が必要です。


■中堅企業向けの見直しポイント

中堅企業向けについても、適用期限到来後は制度廃止となります。

加えて、期限内であっても、

  • 給与等増加割合の要件

  • 税額控除率

  • 最大控除率

が見直され、従来よりも控除の上限が抑えられる設計となっています。

また、教育訓練費に係る上乗せ措置は廃止されるため、これまで人材投資と組み合わせて活用してきた企業では、想定していた税額控除が受けられない可能性があります。


■中小企業向け賃上げ税制の変更点

中小企業向け制度は、引き続き適用されますが、内容は見直されます。

主なポイントは次のとおりです。

  • 控除率・最大控除率の引下げ

  • 教育訓練費に係る上乗せ措置の整理

  • 認定制度による上乗せ措置は継続

一方で、

  • 税額控除限度超過額の5年間繰越

  • 雇用維持を前提とした制度設計

といった基本的な枠組みは維持されています。


中小企業では、引き続き「賃上げ+税額控除」を検討する余地はあるものの、従来ほどのインパクトはなくなる点に注意が必要です。


■実務上の注意点ー「今期・来期の賃上げ計画」と税務の関係

今回の改正を踏まえると、企業としては、

  • どの事業年度まで税制の恩恵を受けられるのか

  • 今後の賃上げを税務メリット前提で考えるべきか

  • 人材確保・定着を目的とした賃上げへどう切り替えるか

といった点を整理する必要があります。

特に、

  • 大企業・中堅企業では「税制ありきの賃上げ」は前提にできなくなる

  • 中小企業では要件を満たすかどうかの事前判定がより重要

になります。


■税理士の視点:今後の対応の考え方

賃上げ税制の見直しは、

  • 税負担の問題だけでなく、

  • 人事戦略・資金計画

とも密接に関係します。

そのため、

  • 適用期限を踏まえた事業年度ごとのシミュレーション

  • 賃上げ計画と法人税への影響整理

  • 他の税制改正(投資促進税制等)との組み合わせ検討

といった 総合的な視点 が重要です。


■まとめ

令和8年度税制改正により、賃上げ税制は「拡充の時代」から「整理・収束の段階」へ入ったといえます。


特に大企業・中堅企業では、税額控除がなくなる前提での賃上げ戦略が求められます。

当事務所では、

  • 賃上げ税制の適用可否判定

  • 事業年度ごとの税務シミュレーション

を行なっています。


賃上げや人件費の増加が税務に与える影響について、不安がある方はぜひご相談ください。




神戸 公認会計士 決算支援 開示書類作成

コメント


bottom of page