電子取引データのタイムスタンプ
- yasuda-cpa-office
- 7月15日
- 読了時間: 3分
おはようございます!代表の安田です。
2024年の電子帳簿保存法改正により、電子取引データの保存要件が強化されています。
特に注目されているのが、「改ざん防止措置」としてのタイムスタンプの付与です。
しかし、取引先からワードやエクセル形式で送られてくる請求書等に直接タイムスタンプが付けられない場合、どのように対応すべきか悩まれている企業も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、この点に関する現実的な解決策を紹介します。
■電子取引データの保存義務とは?
電子取引とは、メールやEDIなどで請求書・見積書などの取引情報を授受することを指します。電子帳簿保存法第7条により、これらのデータは「電子データのまま保存」する義務があります。
この際、満たすべき保存要件には次のいずれかが必要です
タイムスタンプの付与
改ざん防止措置(ログ管理など)
真実性・可視性確保のための検索機能など
■タイムスタンプが付けられない場合の代替策
では、ワード形式で受領したファイルに「編集制限」がかかっており、タイムスタンプを直接付与できない場合はどうすればいいのでしょうか?
このような場合、次の“台紙方式”が有効とされています:
ワード等のデータを添付可能なPDFファイルを作成する
添付したPDFファイルに対してタイムスタンプを付与する
この方式であれば、「改ざん防止措置」の要件を満たす合理的な方法と評価されるとされています。
■PDF形式の保存が認められる例(国税庁Q&Aより)
国税庁の「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」においても、次のような対応が認められています:
形式 | 保存方法 | 認められるか? |
ワード → PDF変換 | タイムスタンプ付きで保存 | ○ |
XML → エクセル変換(EDI取引) | 内容が変わっていなければOK | ○ |
パスワード付きPDF | パスワードを解除後、保存 | ○ |
このように、データの本質(内容)を変えず、かつ合理的な方法で保存している限り、形式の変換や編集は問題ないとされています。
■実務上のポイント
実務課題 | 対応策 |
タイムスタンプ付与できないデータ | PDFで台紙を作成し、そこに添付+タイムスタンプ |
異なるファイル形式の混在 | 一括保存できるフォルダ構成・命名ルールの統一 |
相手方からの受領形式の統一 | 書式指定やPDF形式での受領を依頼するなど運用面の整備 |
■ まとめ:柔軟な保存方法で「実務負担軽減」と「法令遵守」の両立を
電子取引の保存については、形式や手段にとらわれず、合理的かつ改ざん防止の観点から有効な手段を選ぶことが重要です。台紙方式の活用は、現場にとっても大きな負担軽減につながるはずです。


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