適格合併における「事業関連性要件」
- yasuda-cpa-office
- 11月19日
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おはようございます!代表の安田です。
今回は、組織再編税制における「適格合併」の要件の一つである 事業関連性要件についてのお話です。中小企業やグループ法人においても重要な論点ですので、ぜひご参考ください。
1. 適格合併とは?
法人税法上、一定の要件を満たす合併は「適格合併」として取り扱われます。
適格合併に該当すれば、資産や負債の移転に伴う含み益を課税繰延べできるため、課税を回避できるメリットがあります。
ただし、適格要件を満たさない場合は「非適格合併」となり、移転資産に時価課税がされるため注意が必要です。
2. 事業関連性要件とは?
特に、支配関係のない法人間の合併では、
金銭等不交付要件
共同事業要件
の2つを満たす必要があります。
このうち共同事業要件の一部が「事業関連性要件」です。これは、
合併法人(存続法人)のいずれかの事業 と
被合併法人の「主要な事業」が、実態を備えたうえで相互に関連していること
を求めるものです。
3. 「関連する事業」と認められる例
事業関連性要件では、「同種事業」である必要はなく、業態が異なっていても関連性があれば認められます。
例1:同じ小売業同士の合併(××小売業と××小売業)
例2:製薬業における製造事業と販売事業の関係(同一製品に関連する異なる工程)
このように、製品やサービスを通じて関連していれば要件を満たすと考えられます。
4. 実務上の懸念点と判断
実務では「形式的に取引関係を作って要件を満たしたように見せるケース」が問題視されることがあります。
例えば、合併法人の販売先が被合併法人のみであった場合、「合併直前に一時的に取引を作っただけではないか」と疑われる可能性があります。
しかし、過去から合併直前まで継続して取引が行なわれてきたのであれば、単に販売先が被合併法人に偏っていることを理由に「事業の実態がない」と判断されることはないとされています。
まとめ
適格合併には「事業関連性要件」があり、支配関係のない法人間の合併では特に重要。
事業は「実態」が求められ、見せかけの取引は認められない。
取引が過去から継続していれば、売上先が限定的でも事業の実態があると判断される。
当事務所では、組織再編税制や合併スキームに関する税務上の判定についてご相談を承っています。合併やグループ再編をお考えの際は、ぜひお声がけください。


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