税務調査のオンライン化
- yasuda-cpa-office
- 11月16日
- 読了時間: 3分
おはようございます!代表の安田です。
国税庁は2025年10月17日、税務調査や行政指導などの業務でオンラインツールを活用できる仕組みを全国的に導入する方針を公表しました。この取組みは、政府共通の業務基盤「ガバメントソリューションサービス(GSS)」の導入に伴うもので、法人・個人を問わず、すべての税目(法人税・消費税・所得税・相続税など)に対応しています。
すでに金沢国税局と福岡国税局では運用が始まっており、その他の国税局でも令和8年3月以降に順次拡大される予定です。
1.どんなオンラインツールが使えるのか?
国税庁の発表によると、以下のツールを必要に応じて利用できるようになります。
区分 | ツール名 | 主な利用目的 |
メール連絡 | インターネットメール | 税務職員との基本的なやりとり |
Web会議 | Microsoft Teams | 税務調査や面談のオンライン実施 |
ファイル共有 | PrimeDrive(オンラインストレージ) | 大容量データ(帳簿・資料等)のやりとり |
登録・同意 | Microsoft Forms | メールアドレス登録や同意事項の確認 |
これにより、これまで対面で行なわれていた税務調査・行政指導・滞納整理・査察調査なども、必要に応じてオンラインで実施可能となります。また、税務調査以外でも、国税庁と契約する事業者や民間団体などが職員と連絡を取る場面での利用も想定されています。
2.利用にあたっての手続き方法
オンラインツールを利用するには、税務署または国税局ごとに設けられたMicrosoft Formsの登録フォームから申し込みが必要です。手続きの流れは以下のとおりです。
①税務署・国税局の担当者から利用の意思確認を受ける
②「オンラインツールの利用に関する同意事項」に同意
③Microsoft Formsで、メールアドレス・氏名・所在地などを登録
④登録後、税務署からテストメールが送付され、返信で利用開始
その後、税務署側から送信されるURLを通じてTeamsやPrimeDriveなどの利用が可能になります。
<注意点>
オンライン利用はあくまで「国税当局が必要と認めた場合」に行なわれます。
納税者が希望しても、内容によっては従来どおりの対面調査が行なわれることもあります。
3.登録フォームで入力する主な項目(例)
Microsoft Formsの登録フォームには、以下のような内容を記載します。
利用目的(調査担当者との連絡/徴収担当者との連絡など)
納税者(または法人)の名称・所在地
登録担当者の氏名と納税者との関係
関係団体・契約事業者の場合は、所属団体名や業務目的
この登録情報をもとに、国税職員との間で安全にオンライン連絡ができる環境が整備されます。
4.実務上のポイントと期待される効果
<メリット>
迅速なやりとりが可能:メールやTeamsで資料確認・質疑応答がスムーズに
遠隔地対応が容易:地方や海外に本社・支店を持つ企業でも負担軽減
紙資料の削減:PrimeDriveでデータ共有ができるため、郵送コスト削減
<注意点>
情報漏えい防止のため、登録メールアドレスの管理に十分注意する必要があります
オンラインでの調査実施が「義務」ではないため、最終判断は税務署側の裁量に委ねられます
5.まとめ
項目 | 内容 |
公表日 | 2025年10月17日 |
対象 | 法人・個人を問わず全税目 |
対応ツール | メール・Teams・PrimeDrive・Forms |
手続方法 | Microsoft Formsでの事前登録が必要 |
開始時期 | 金沢・福岡国税局で運用開始、他局は令和8年3月以降順次拡大 |
税理士からのコメント
税務調査のオンライン化は、国税行政のデジタル化を象徴する取組みです。
今後は、調査対応の効率化が進む一方で、データ管理・セキュリティ対応もますます重要になります。特に企業では、担当者のメール管理ルールやデータ共有の運用体制を整えておくことが求められます。


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