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準確定申告は申告日で適用が変わる

  • yasuda-cpa-office
  • 24 時間前
  • 読了時間: 3分

おはようございます!代表の安田です。


令和7年度税制改正では


  • 基礎控除の引上げ(48万円 → 最大95万円)

  • 給与所得控除の最低保障額引上げ(55万円 → 65万円)

  • 特定親族特別控除の創設

  • 扶養親族等の所得要件引上げ(48万円 → 58万円)


など、所得税の制度が大きく変わりました。

この改正は 令和7年12月1日施行であるため、年の途中で亡くなられた方の準確定申告の提出日によって、改正の適用可否が変わるという重要ポイントが生じます。

本日は、その判断基準と実務上の注意点をわかりやすく整理します。


1.準確定申告とは?

準確定申告は、年の途中で

  • 死亡した場合(相続開始)

  • 出国(国外転出)した場合

に、被相続人等の所得税を整理するための申告制度です。

申告期限は、相続開始を知った日の翌日から4か月以内。令和7年は、改正の施行日が12月1日のため、同じ「令和7年分準確定申告」でも、提出日によって制度が異なります。


2.11月30日までに提出 → 新制度は適用不可

令和7年11月30日以前に準確定申告を提出した場合、改正前の控除額(基礎控除48万円など)での申告となります。

しかし、納税者が不利益を受けないよう、令和7年12月1日以降、次の期間内で更正の請求により改正内容を適用可能です:


▶ 更正の請求期間:令和7年12月1日〜令和12年12月2日

期間が5年間あるため、慌てる必要はありませんが、被相続人の所得状況や控除対象親族の確認を含め、早めの見直しが推奨されます。


3.12月1日以後に提出 → 改正後の控除を準確定に適用できる

12月1日以後に提出する準確定申告は、改正後の基礎控除・給与所得控除・特定親族特別控除等をそのまま適用可能です。

ただし、令和7年分の確定申告書様式が未改訂であるため、入力方法に特有の注意点があります。


4.【重要】e-Tax での入力方法(令和7年中の申告)

様式が旧制度のままのため、控除額の記載位置が通常と異なります。


<① 基礎控除の入力>

申告書第一表の「基礎控除」欄には 金額を入力しない(初期値0のまま)。

代わりに:

→ 「雑損控除」欄に改正後の基礎控除額を入力

雑損控除がある場合は、「雑損控除額 + 基礎控除額」の合計を入力。


<② 特定親族特別控除の入力>

こちらも様式が未整備のため:

→ 「扶養控除」欄に特定親族特別控除額を入力

扶養控除も適用する場合は、「扶養控除額 + 特定親族特別控除額」の合計を入力。


5.【税理士の視点】実務で注意すべきポイント


<1.申告日ベースで適用制度が変わる>

亡くなった日・出国日ではなく、実際に準確定申告を提出した日が基準。


<2.控除額が大きく増えるため、早期提出は不利になる可能性>

特に基礎控除・特定親族特別控除はインパクトが大きいため、12月1日以降の提出が有利となるケースが多い。


<3.更正の請求が可能でも、戸籍・所得関係資料は早めに整備を>

時間が経つほど資料収集が困難になるため、提出後も改正適用の可能性を踏まえ保管が重要。


<4.e-Tax入力は誤りやすいため、税理士チェックを推奨>

控除欄が旧様式のままのため、入力誤りが発生しやすい。税理士によるチェックを推奨。


まとめ

令和7年度改正により、準確定申告において提出日による控除額の差という新しい論点が生じました。


  • 11月30日以前:改正適用不可(更正の請求で対応)

  • 12月1日以後:改正後の控除を直接適用

  • e-Taxでは基礎控除・特定親族特別控除の入力欄が特殊


といった点を押さえ、遺族の負担を軽減しつつ、適正な申告につなげることが重要です。

当事務所では、準確定申告・相続税・所得税改正への対応まで一貫したサポートを提供しております。お気軽にご相談ください。




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