派遣社員の出張旅費、インボイスは必要?
- yasuda-cpa-office
- 8月13日
- 読了時間: 2分
おはようございます!代表の安田です。
2023年10月から本格運用が始まった「インボイス制度」。その中で、出張旅費に関しては「帳簿のみで仕入税額控除が可能となる特例」が設けられています。今回はこの「出張旅費等特例」が、派遣社員や出向社員にも適用できるのか、という実務上の重要ポイントをわかりやすくご紹介します。
出張旅費等特例とは?
インボイス制度では、原則として仕入税額控除を受けるにはインボイスの保存が必要です。しかし、従業員等に支給する以下のような出張費用については、以下の要件を満たせば帳簿保存のみで控除が可能となります。
交通費、宿泊費、日当など通常必要と認められる費用
帳簿に支払先、内容、金額などの必要事項が記載されていること
「従業員等」に派遣社員は含まれるの?
結論から言うと、派遣社員・出向社員も条件を満たせば「従業員等」として扱うことが可能です。すなわち、派遣先企業が自社の社員と同様に、旅費規程に基づいて出張旅費を支給していれば、帳簿保存だけで仕入税額控除を認めてもらえる場合があります。
適用のカギは「誰に出張旅費を支払っているか」
ここで注意すべきは、「実際に出張旅費を誰に支払っているか」という点です。次の2パターンで、インボイスの取扱いが異なります。
パターン①:派遣元企業に支払う場合
派遣先企業が派遣元企業へまとめて出張旅費等を支払っている場合は、派遣元企業からインボイスを受領・保存しなければなりません。これは「役務の対価の一部」として扱われるからです。
パターン②:派遣元企業を通じて社員本人に支払う場合
契約上、派遣元企業が旅費を「預かり金」として受け取り、最終的に社員に支払っているのであれば、派遣先企業が直接支払っているものと同様の扱いになります。この場合は、帳簿保存のみでOKです。
※この場合、契約書などで「預かった旅費を社員に支払う旨」が明示されている必要があります。
実務上のポイントと注意点
旅費支払いの流れや契約内容を確認することが必須
曖昧な支払いルールだと、控除対象とならないリスクあり
出張規程や会計処理の見直しも検討を
まとめ
インボイス制度下では、派遣社員や出向社員への出張費精算にも細心の注意が必要です。
支払先と契約内容の整理を行ない、帳簿記載の要件を満たしていれば、帳簿保存のみで仕入税額控除が可能なケースもあります。派遣先としての実務対応に不安のある方は、ぜひ当事務所までご相談ください。


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