棚卸資産の評価方法を変更するには
- yasuda-cpa-office
- 7月27日
- 読了時間: 3分
おはようございます!代表の安田です。
暗号資産を含む棚卸資産の会計・税務処理において、評価方法(移動平均法または総平均法)の選択は、企業の損益計算や税額に直接影響する重要な判断です。
ただし、いったん選択した評価方法を変更するには、原則として「相当期間」が経過していることが求められます。本記事では、評価方法の変更に関する実務ポイントを整理します。
■暗号資産の譲渡原価にも評価方法の選択が必要
法人が暗号資産を保有・譲渡する場合、その譲渡原価(売却原価)の算定にあたっては、「棚卸資産の評価方法に準じる」必要があります。
適用できる評価方法は、次のいずれかです:
移動平均法(法定評価方法)
総平均法(申請により選択可)
【注記】評価方法を選択せずに届け出を怠った場合、自動的に「移動平均法」が適用されます。
■評価方法の変更には「相当期間」が必要
現在採用している評価方法を変更するには、原則として次の条件が求められます:
「相当期間」=3年以上の継続使用
所轄税務署長への「変更承認申請書」の提出
新しい評価方法を適用する事業年度の開始日の前日までに提出
この「相当期間」の基準は、法人税基本通達(法基通5-2-13)で明確に「3年」とされています。
■3年経過前でも変更が認められる場合とは?
例外的に、合理的な理由がある場合には、3年未満でも変更が承認されるケースがあります。
合理的な理由の具体例:
現行の評価方法による帳簿価額の算出が事実上困難
税務・会計処理上、過大な事務負担が発生している
暗号資産の保有量や取引頻度の大幅な変化 など
ただし、「単なる利益調整目的」や「節税意図による変更」は、認められません。
■事務負担から総平均法への変更も想定
近年、移動平均法での原価計算が煩雑であることから、事務負担の軽減を理由に総平均法への変更を希望するケースが増えています。このような場合も、「帳簿計算の正確性が確保できない」などの合理性が認められれば、3年未満であっても変更が可能です。
■実務での対応ポイント
評価方法を変更する際は、現行法の継続年数を必ず確認
変更希望がある場合は、申請書の提出期限(事業年度開始日前日)に注意
合理的な理由の有無を判断するため、変更理由を文書で整理しておく
申請却下のリスクを避けるため、税理士等専門家への事前相談を推奨
■まとめ
暗号資産を含む棚卸資産の評価方法変更は、法人の税務戦略にとって重要な論点です。「相当期間」や「合理的な理由」といった要件を理解し、適切に申請・運用することが、会計の信頼性と税務リスクの回避に繋がります。
当事務所では、評価方法変更にかかる申請支援や、変更可否の事前診断サービスも承っております。お気軽にご相談ください。


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