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有報における「人権」情報の開示が拡大

  • yasuda-cpa-office
  • 9月14日
  • 読了時間: 2分

おはようございます!代表の安田です。


近年、企業の有価証券報告書(有報)における「人権」関連の開示が急速に広がっています。サステナビリティ経営やESG投資の広がりを背景に、労働環境や人権対応が企業価値の評価に直結するようになってきました。


1. 開示件数の増加

金融庁の調査によれば、有報のサステナビリティ欄で「人権」に関する記載を行なう企業は、

  • 2023年3月期:756社

  • 2024年3月期:903社

と大きく増加しています。この背景には、ハラスメント事案の社会問題化や多様性確保への社会的要請の高まりがあります。


2. 開示される主なテーマ

企業が有報で「人権」に関して触れている内容には、以下が多く見られます。

  • 職場における多様性確保

  • ハラスメント禁止・防止体制

  • 労働時間や安全衛生に関する課題

  • 社内外の通報窓口の設置(救済アクセスの確保)

単に課題を列挙するだけでなく、リスク認識とその対応策を明示することが重要視されています。


3. 好事例に見るポイント

金融庁がまとめる「記述情報の開示の好事例集2024」では、「課題をどのように管理し、解決していくのか」を示すことが有用とされています。

  • 積水ハウス:職場ハラスメントを重点課題に掲げ、相談受付から是正措置・再発防止策までのプロセスを開示。さらにホットラインの相談件数や対応件数など定量情報も公表

  • 養命酒製造:「多様な人材の活用」について、単に制度を紹介するだけでなく、経営理念実現との関連を説明。人権対応と企業価値向上の関連性を明確化


4. 実務への示唆

  • 「人権」に関する開示は年々拡充傾向にあり、上場企業にとっては不可避のテーマ

  • 投資家や社会からの信頼を得るためには、課題の認識 → 具体的対応策 → 定量的な成果を開示することが望ましい

  • 中堅・中小企業にとっても、将来的な開示要請や取引先からの説明要求に備え、人権対応の体制整備を進めておく必要があります


まとめ

有報における人権開示は、単なる形式的な情報提供ではなく、企業のガバナンスや持続的成長力を示す重要な要素になりつつあります。「自社はどのような課題を抱え、どのように解決していくのか」を具体的に示すことが、これからの開示実務に求められる姿勢といえるでしょう。





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