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従業員持株会の「奨励金」の課税関係

  • yasuda-cpa-office
  • 4 日前
  • 読了時間: 2分

おはようございます!代表の安田です。


企業によるインセンティブ制度の一環として導入が進む「従業員持株制度」。東京証券取引所のデータによれば、国内上場企業の約8割がこの制度を導入しており、多くの場合、従業員への「奨励金」支給も併せて行なわれています。

では、この奨励金、税務上はどのように扱うべきなのでしょうか?


■ 従業員持株制度の仕組みと奨励金とは?

従業員持株制度とは、従業員が給与や賞与からあらかじめ拠出した金額を元に自社株式を取得できる制度です。このとき企業側は、従業員の拠出金に対して一定の比率(例:10%)や定額の奨励金を上乗せ支給します。

▼ 例:

  • 拠出金:月額15,000円

  • 奨励金:10%(=1,500円)

  • 実際に取得する株式:合計16,500円分

奨励金は現金としてではなく、自社株式の取得原資として支給されます。


■ 奨励金は「給与課税」の対象

重要な点は、たとえ福利厚生費として会計処理していたとしても、奨励金は税務上「給与所得」として課税対象になるということです。

  • 所得税法第28条第1項により、「給与等」に該当

  • 原則として毎月の給与に加算して源泉徴収の対象

  • 賃上げ促進税制(措法42の12の5⑤三)においても、「対象となる給与等」に含まれる

つまり、企業側が別勘定で費用処理をしていても、税務処理としては「給与課税」が必須です。


■ つみたてNISAの奨励金も同様に課税対象

同様に、近年導入が進んでいる「職場つみたてNISA」においても、従業員に支給される奨励金は給与課税対象になります。

つみたてNISAの奨励金であっても、

  • 支給方法が現物か現金かを問わず

  • 「給与等」に該当し

  • 源泉徴収および賃上げ促進税制の対象給与となる

という点で、従業員持株制度と同様の取り扱いとなります。


■ 実務対応のポイント

  1. 会計処理と税務処理を混同しない → 福利厚生費計上でも給与課税の対象になる点に注意

  2. 源泉徴収ソフト等の設定確認を → 奨励金を給与に加算して課税処理しているか確認

  3. 賃上げ促進税制の対象給与としてカウントを → 人件費加算のベース給与として活用できる可能性あり


■ まとめ:見落としがちな「奨励金の給与課税」

従業員持株会やつみたてNISAといった制度は、従業員の資産形成を支援する有効な制度です。ただし、税務面での取扱いを正しく理解しないと、課税漏れや源泉徴収の不備につながりかねません。


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