少額減価償却資産の特例の誤解しがちなポイント
- yasuda-cpa-office
- 8月14日
- 読了時間: 2分
おはようございます!代表の安田です。
中小企業にとって、固定資産の購入費を早期に経費化できる「少額減価償却資産の特例」は、節税効果が高く非常に使い勝手のよい制度です。しかし、この特例には複雑な適用要件があり、誤った運用をしてしまうケースも少なくありません。
本記事では、最新の制度内容と注意点をわかりやすくご紹介します。
■ 制度の概要:30万円未満なら一括損金算入OK!
少額減価償却資産の特例とは、取得価額が30万円未満の減価償却資産について、一定の中小企業等が取得した事業年度に全額損金算入できる制度です(年間300万円まで)。
■ 適用要件①:対象法人に厳格な基準あり
従来は資本金1億円以下であればOKでしたが、現在では以下のように厳格な要件があります。
青色申告法人であること
資本金1億円以下であること
常時使用する従業員数が500人以下(パート・アルバイトも含む)
過去3年間(基準年度)の平均所得金額が15億円超の法人は除外
※所得金額は「繰越控除後の所得金額」を基に計算されます。欠損金の繰戻還付に使用された欠損金は繰越控除の対象となりません
■ 適用要件②:貸付用資産には注意
節税対策として一部で悪用されていたことから、「貸付用の資産」は原則として特例の対象外とされています。ただし、例外もあります。
リース会社など「貸付が主たる事業」の場合
継続的に経営資源(設備や人材など)を活用した貸付業務であれば、主たる事業でなくてもOK
このように、形式的な「貸付」か、それとも事業実態のある貸付かが判断ポイントとなります。
■ 実務ポイント:従業員数の判定時期に注意
資本金の要件は「取得日」や「供用日」の状況で判定
一方で、従業員数については「期末時点」での確認も可能とされており、事務負担の軽減が認められています
たとえば、期中に一時的に従業員数が501人を超えても、期末で500人以下であれば、その年度中の取得資産は全て特例対象になります。
■ 制度の「落とし穴」にご注意を
この特例は、制度そのものはシンプルですが、誤解されやすい点(貸付用、従業員数のカウント、所得金額の計算など)が多くあります。毎年適用しているからといって、安易に過信せず、毎年度の状況をしっかり確認することが肝要です。
▼まとめ:こんな方は要チェック!
リースや資産の貸付事業も行なっている
資本金1億円以下だが、最近増資の予定がある
欠損金の繰戻し還付を利用している
パートや短時間勤務者の雇用が多い
いずれかに該当する場合は、ぜひ一度、特例の適用可否を見直してみてください。


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