top of page

令和8年10月1日をまたぐ短期前払費用の取扱い

  • yasuda-cpa-office
  • 2025年12月29日
  • 読了時間: 3分

おはようございます!代表の安田です。


インボイス制度の経過措置では、免税事業者等から仕入れた場合でも一定割合の仕入税額控除が認められています。

  • 令和8年9月30日まで:80%控除

  • 令和8年10月1日以後:50%控除(税制改正で70%控除にすることが検討中です)


この転換点をまたぐ取引について、特に 「短期前払費用」 の場合にどの控除割合を使うべきか、実務で判断が分かれやすい論点です。


今回、国税庁が「インボイスの取扱いに関するご質問」を更新し、短期前払費用は支出日における控除割合を全額に適用できることを明確にしました。


1.短期前払費用とは?

― 1年以内の役務提供で、支払時に費用計上する仕組み

「短期前払費用」とは、支払日から1年以内に役務の提供を受ける前払費用を、その支出日に損金算入できる取り扱いです(法人税・所得税共通)。

消費税では、この短期前払費用として処理した金額について、“その支出日に仕入れが行われたもの”として取り扱うという実務判断があります。

今回の国税庁の整理は、この「支出日基準」をインボイス経過措置にも適用できると明確にしたものです。


2.結論:短期前払費用は“支出日”の控除割合を全額に適用

令和8年10月1日をまたぐ期間でも分割不要!

具体例で見てみましょう。

【例】12月決算法人

  • 令和8年2月支払

  • 保守期間:令和8年2月〜令和9年1月→ 期間は令和8年10月1日をまたぐ→ 全額について「80%控除」適用

支出日(令和8年2月)が80%期間内であるため、「全額80%」でよいというのが国税庁の整理です。

これは企業実務上きわめて重要なポイントです。


3.支出日が令和8年10月以後なら「全額50%」

逆に、支払日が令和8年10月1日以後であれば、たとえほぼ1年間が旧制度の期間であったとしても、全額が「50%控除」となります。

具体例を見てみましょう。

【例】令和8年10月中に支払

  • 保守期間:令和8年10月〜令和9年9月→ 全額50%控除


4.注意点:短期前払費用の取扱いを受けない場合は「原則扱い」

次は短期前払費用の要件を満たさないケースでの具体例を見てみましょう。

【例】支払日の属する課税期間内に役務提供が完了する場合

(=短期前払費用にならない)

→ 役務の完了日基準で控除割合を判定

この場合、

  • 1〜9月分:80%

  • 10〜12月分:50%

のように、役務提供期間に応じて按分が必要です。


5.実務上の注意点(税理士の視点)

<① 前払費用が短期前払費用に「該当するか」をまず確認>

該当しなければ“役務完了日基準”となり、按分が必要。


<② 課税期間をまたぐ支払いは、必ず「支出日」で判定>

会計処理(繰延費用)と税務処理(短期前払費用)は切り離して考える。


<③ インボイスの有無と経過措置の両面を同時に確認>

免税事業者等からの仕入れかどうかも必ず確認。


<④ 顧問先には「令和8年10月の支払」は注意喚起を>

9月支払と10月支払で控除割合が大きく変わるため、支払時期の調整が節税に直結する可能性があります。


まとめ

令和8年10月1日以後、免税事業者等からの仕入れに係る控除割合は80% → 50%へと大きく引き下がります。


しかし短期前払費用については、

  • 支出日基準で控除割合を判定

  • 役務の提供期間は問わないことが整理され、実務判断が明確になりました。


前払費用の支払時期は、控除額に大きな影響を及ぼすため、顧問先への事前の説明とスケジューリングが非常に重要です。


当事務所では、インボイス制度・消費税の経過措置対応、短期前払費用の判定支援、税務調整のアドバイス等も行なっております。お気軽にご相談ください。




神戸 公認会計士 決算支援 開示書類作成

コメント


bottom of page