フリーレント新通達の「課税上弊害があるもの」
- yasuda-cpa-office
- 10月21日
- 読了時間: 2分
おはようございます!代表の安田です。
今回は、2025年10月に示されたフリーレントに関する法人税基本通達の改正内容をご紹介します。特に、実務で注意が必要な「課税上弊害があるもの」の取扱いについて解説します。
1. 背景:フリーレントの税務処理
フリーレント(一定期間賃料を無償とする契約)は、不動産賃貸借で広く用いられています。従来、賃料総額を契約期間で按分して損金算入できるかどうかについて明確なルールがなく、実務で取扱いが分かれていました。
今回の改正通達では、原則として以下の処理が認められました。
損金経理を要件に、賃料総額を賃借期間で均等按分し、各事業年度に損金算入可能
ただし、これに例外があります。それが「課税上弊害があるもの」です。
2. 「課税上弊害があるもの」とされるケース
新通達では、以下の2つの場合に該当すると例示されています。
(1) 差額が賃料総額の2割超となる場合
無償期間がなかった場合に支払うべき金額(=通常の月額賃料×契約期間)と、実際に契約で定められた賃料総額との差額が、賃料総額のおおむね20%を超える場合。
例:
1年契約で3か月のフリーレント → 差額が20%超 → 課税上弊害あり
2年契約で5か月のフリーレント → 同様に課税上弊害あり
(2) 無償期間が各事業年度の5割超となる場合
無償期間が属する事業年度で、賃借期間の5割を超える部分が賃料ゼロまたは少額になると見込まれる場合。
ただし、無償期間が4か月を超える契約に限る。
例:契約初年度の半分以上がフリーレント期間となる場合
3. 実務での留意点
短期契約でフリーレントが長めに設定されている場合は、課税上弊害に該当する可能性が高い
契約書の記載内容と期間配分を必ず確認すること
損金算入を按分処理する際には、「2割基準」と「5割基準」を意識して判定する必要がある
4. まとめ
フリーレントの税務処理は、改正通達により原則が整理された一方で、過度な無償期間を設ける契約は「課税上弊害があるもの」として例外的に按分処理が認められません。
特に不動産賃貸契約を多数取り扱う企業や、初期費用削減のために長めのフリーレントを設定するケースでは、契約内容のチェックが必須です。


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