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グループ通算制度の「承認申請書」は取り下げ可能?

  • yasuda-cpa-office
  • 11月13日
  • 読了時間: 3分

おはようございます!代表の安田です。


2022年(令和4年)4月1日以後に開始する事業年度から導入されたグループ通算制度。

これは、従来の「連結納税制度」に代わる新しいグループ課税制度で、親会社と子会社など一定の関係にある法人を1つのグループとして税務上通算計算できる仕組みです。


制度を利用するには、事前に国税庁長官の承認(みなし承認)を受ける必要があります。このとき提出するのが「グループ通算制度の承認の申請書(以下、承認申請書)」です。


1.承認申請の基本ルール

通算制度を適用する場合、同じ通算グループに属する法人が全員連名で承認申請書を提出しなければなりません。提出先は、通算親法人となる会社の所轄税務署長を経由して国税庁長官宛てとされており、提出期限は以下の通りです。


🔹 提出期限:通算制度の適用を受けようとする最初の事業年度開始日の3か月前まで


たとえば、3月決算の会社が令和9年3月期から通算制度を適用したい場合、提出期限は令和7年12月末までとなります。


2.承認申請書は「みなし承認」前なら取下げ可能

承認申請書を提出した後に、経営判断やグループ再編の事情などで「やはり通算制度を見合わせたい」となった場合はどうすればよいのでしょうか?

この場合、「みなし承認日」より前であれば申請を取り下げることが可能です。取下げは、所轄税務署に「取下書」を提出することで行います。


<具体例>

  • A社(3月決算法人)は令和9年3月期から通算制度を適用したいと考え、令和7年12月末に承認申請書を提出

  • しかし翌年、事情が変わり制度の導入を見送ることに

  • この場合、みなし承認日である令和8年4月1日より前に所轄税務署へ取下書を提出すれば、申請を取り下げることができます


つまり、申請後であっても「みなし承認」が成立する前なら撤回可能という柔軟な取扱いが認められています。


4.取下書の様式は定めなし―作成時は税務署へ相談を

なお、「取下書」については法令上で定められた様式はありません。

そのため、以下のような項目を記載した任意書式で作成すれば差し支えありません。


<取下書に記載すべき主な事項>

  • 提出日

  • 通算親法人名および代表者名

  • 取下げの対象となる申請書名(グループ通算制度の承認申請書)

  • 取下げの理由(事情の変更等)

  • 所轄税務署宛ての文書形式


ただし、記載方法や提出手続きに不安がある場合は、事前に所轄税務署へ相談するのが安心です。


4.実務への影響と注意点

通算制度の適用には、グループ全体の会計・税務処理体制の整備や、子会社を含む全法人の合意形成が不可欠です。そのため、申請後に組織再編や資本政策の見直しが発生した場合は、早めに取下げの判断を行うことが重要です。


また、みなし承認日を過ぎると取り下げができず、翌期から制度が自動的に適用されてしまうため、スケジュール管理にも注意が必要です。


5.まとめ

項目

内容

提出書類

グループ通算制度の承認申請書

提出期限

適用を受ける最初の事業年度開始日の3か月前まで

取下げ可否

みなし承認日より前であれば可(所轄税務署へ取下書提出)

様式

任意(定めなし)

留意点

通算適用の有無を慎重に判断し、期限内に手続を行う

税理士からのコメント

グループ通算制度は、税務の一体管理によりグループ全体の納税効率を高める反面、制度開始後の変更や撤回は原則できません。したがって、導入判断の段階で取下げ可能な期間(みなし承認前)を意識してスケジュールを組むことが大切です。


制度の導入可否や取下げ対応に迷った場合は、早めに専門家へご相談ください。





神戸 公認会計士 決算支援 開示書類作成

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