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のれんの非償却の選択制は導入されるのか?

  • yasuda-cpa-office
  • 2025年12月27日
  • 読了時間: 3分

おはようございます!代表の安田です。


日本企業のM&Aは年々活発化しており、その結果として貸借対照表に占める「のれん」残高が増加しています。その中で議論が続くのが、

  • のれんを償却すべきか?

  • 非償却(減損のみ)にすべきか?

  • 償却費の損益計算書上の区分を変更すべきか?

という根本的な問題です。

2024年に企業会計基準諮問会議で提案された① のれん非償却の選択制導入 ② のれん償却費の計上区分変更について、最新の議論状況をまとめます。


1.なぜ「のれん非償却」が議論されているのか?

特にスタートアップ業界では、

  • 毎期の償却負担が重い

  • 赤字計上の原因になり成長投資を阻害する

  • 海外基準(IFRS・US GAAP)と扱いが異なる

といった問題意識が強く、日本基準の見直しを求める声が長年存在してきました。

しかし、日本基準では現行ルールとして規則的な償却(20年以内)+減損テストが義務付けられています。


2.諮問会議で提案された2つのテーマ

① のれん非償却の選択制

→ 日本基準でもIFRSと同様、償却せずに減損のみで評価することを選択可能にする案。

② のれん償却費の計上区分変更

現行:営業費用として認識→ 変更案:営業外費用または特別損失で計上する(営業利益の歪みを防ぐ狙い)


3.しかし「賛同意見は少数」

公聴会(6回開催)で寄せられた意見では、選択制の導入にも、償却費区分の変更にも賛同は少数派だったとされています。

主な懸念は次のとおり:


(懸念1)恣意性が高まり、財務諸表の比較可能性が低下する

  • 償却する企業・しない企業が混在

  • 利益水準の単純比較が困難に

  • 指標(営業利益、EBITDA等)の統一性が損なわれる


(懸念2)計上区分変更は本質的な解決にならない

  • 営業外費用や特損にしても利益調整疑念が生じる

  • 利用者が混乱する可能性


(懸念3)非償却にすると減損の重大性がさらに増す

  • 減損テストの負担が増大

  • 経営者の判断により利益調整を行ないやすくなるリスク

これらの理由から、「テーマアップの優先度は低い」という意見も出ています。


4.今後の見通し:2026年3月の会議で方向性が示される

記事によれば、ASBJ事務局は、

  • 非償却導入に伴う制度改正の影響

  • コストとベネフィットのバランス

  • 日本基準の財務報告の質への影響

などを幅広く分析し、2026年3月の諮問会議で“一定の方向性”を提示する予定です。


公認会計士の視点:企業はどう備えるべきか?

✔M&Aを積極化する企業は見直し動向に注意

のれん非償却が導入されれば、買収後のPL負担は大きく変わる可能性があります。


✔営業利益の位置づけが変わる可能性

償却費区分の見直しが行なわれれば、

  • KPI

  • 役員報酬制度

  • 銀行・投資家とのコミュニケーションへの影響も想定されます。


✔減損テスト体制の整備が必要

非償却が導入される場合、毎期の減損テストの重要性が増すため、評価モデル・管理資料・事業計画精度などの整備が必須。


まとめ

のれん会計をめぐる議論は、

  • 企業会計の比較可能性

  • スタートアップ支援

  • 国際会計基準との整合性

など、多面的な要素が絡む難しいテーマです。

今回の公聴会では賛成意見が少なかったものの、ASBJは今後も制度的影響を分析し、2026年3月に方向性を示す予定です。

M&Aを活用する企業・スタートアップ企業にとって、今後の動向は事業戦略に大きく影響し得るため、注視が必要です。





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