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NISAの所在地確認が廃止へ|令和9年から変わる住所確認ルールと実務への影響を解説

  • yasuda-cpa-office
  • 6 日前
  • 読了時間: 6分

おはようございます!代表の安田です。


令和8年度税制改正では、NISA制度に関していくつかの見直しが行なわれています。未成年者向けの新たな仕組みや年齢制限の見直しが注目されがちですが、実務面で見逃せないのが所在地確認の廃止です。添付資料によると、令和9年1月1日から、NISAに係る所在地確認の仕組みが見直され、従来の確認方法は廃止されることになっています。


NISAは個人の資産形成を支援する非課税制度ですが、実際の運用では金融機関側の事務負担も大きく、利用者側にとっても住所確認の手続が煩雑になりがちでした。今回の改正は、制度利用者と金融商品取引業者等の双方に関わる、比較的実務色の強い見直しといえます。


今回は、NISAの所在地確認とは何か、なぜ廃止されるのか、そして廃止後に何が変わるのかを、税理士の視点からわかりやすく整理します。


そもそもNISAの所在地確認とは?

現行制度では、新NISAや旧つみたてNISAについて、一定のタイミングごとに金融商品取引業者等が口座開設者の氏名や住所を確認する仕組みがあります。資料によると、特定累積投資勘定(つみたて投資枠)や特定非課税管理勘定(成長投資枠)からなる新NISA、そして累積投資勘定(つみたてNISA)については、口座を開設して勘定を設けた日から10年を経過した日、さらにその翌日以後5年を経過した日ごとの日、いわゆる基準経過日において、金融商品取引業者等が居住者等の氏名や住所を郵送等により確認するとされています。


つまり、NISA口座は一度作れば終わりではなく、長期保有を前提とする制度だからこそ、一定期間ごとに口座保有者の情報確認が組み込まれていたわけです。


なぜ所在地確認が廃止されるのか

資料では、金融商品取引業者等による所在地確認について、金融機関側と利用者側の双方に負担が大きいことが背景にあると説明されています。また、確認がうまくできない場合には、新規買付ができなくなるといった問題もあったとされています。


たしかに、NISAは長期の資産形成制度である以上、10年、15年といったスパンで口座を持ち続けるケースも少なくありません。その中で、転居や郵便不達、手続漏れなどがあると、本人にとっては思いがけない形で投資継続に支障が出る可能性がありました。


こうした事情を踏まえ、金融庁は金融商品取引業者等と居住者等の負担軽減の観点から、令和8年度改正で所在地確認の廃止を要望し、制度改正に至ったとされています。


令和9年1月1日から何が変わるのか

今回の改正では、金融商品取引業者等が行っていた基準経過日における住所等の確認が廃止されます。つまり、現行制度のように「10年経過時」「その後5年ごと」といった節目で、一律に郵送等による確認を行なう仕組みはなくなります。


この変更によって、NISA利用者の側では、これまでのような定期的な住所確認対応に追われる場面は減ることになります。また、金融機関にとっても、定型的な確認事務の負担軽減につながると考えられます。


ただし、住所確認が完全になくなるわけではない

ここは誤解しやすいポイントです。資料によると、所在地確認の廃止後も、金融商品取引業者等は非課税口座を開設している居住者等の住所等の変更の有無を確認する対応を行なう予定です。


つまり、従来のような機械的・定期的な基準経過日確認はなくなるものの、住所変更の可能性がある利用者については、引き続き何らかの確認が行なわれる前提になっています。

言い換えれば、「定期確認はなくなるが、住所変更の管理責任までなくなるわけではない」ということです。


届出がない場合は新たな受入れ停止も

廃止後の実務で特に重要なのはこの点です。資料では、住所変更の可能性がある居住者等から、一定期間内に非課税口座異動届出書の提出等がなかった場合には、その非課税口座に上場株式等を受け入れない等の対応が行なわれる予定だとされています。


つまり、確認方法が変わるだけであって、住所変更に関する届出が不要になるわけではありません。むしろ、届出を怠った場合には、これまでと同様に、あるいは別の形で、NISA口座の利用に制約がかかる可能性があります。


年間取引報告書への記載も予定されている

資料によれば、上記のように受入れ停止等の対応が取られた場合、その年の非課税口座年間取引報告書には、取引を停止した旨等が記載される予定とされています。

この点は、利用者本人だけでなく、税務申告や資産管理をサポートする専門家にとっても重要です。年間取引報告書の内容を確認した際に、なぜ買付ができていないのか、なぜ取引停止の注記があるのかを把握する必要が出てくるからです。


今後は業界ガイドラインを踏まえた運用へ

住所変更の有無の確認方法については、資料では、今後策定が予定される日本証券業協会等の業界ガイドラインを踏まえて行われる方向とされています。

つまり、改正法の大枠は決まっていても、実際にどのような確認フローが取られるか、どのような場合に「変更の可能性あり」と判断されるかなどの運用面は、今後さらに具体化される見込みです。このため、金融機関ごとの案内や実務対応にも一定の差が出る可能性があります。


利用者が今後気をつけたいこと

今回の改正を受けて、NISA利用者として押さえておきたいのは、住所変更時の届出の重要性は引き続き残るという点です。所在地確認が廃止されると聞くと、「もう住所変更を届けなくてもよいのでは」と誤解しやすいのですが、資料の内容からすると、その理解は正しくありません。

特に、次のようなケースでは注意が必要です。

  • 引っ越し後に金融機関への住所変更届を出していない

  • 結婚や離婚などで氏名変更がある

  • 複数の金融機関に口座があり、一部だけ変更手続を失念している

  • 長期間NISA口座を放置している

こうしたケースでは、将来的に新規買付停止などの不利益につながる可能性があります。


税理士事務所として顧問先に伝えたいポイント

税理士事務所としては、今回の改正は「制度が少し簡素になる」というだけで終わらせないことが大切です。顧問先や個人のお客様に対しては、次のように整理して伝えると実務的です。

  • 令和9年1月1日から、NISAの基準経過日ごとの所在地確認は廃止される

  • ただし、住所等の変更確認自体が不要になるわけではない

  • 届出がなければ、新規買付停止等の対応があり得る

  • 年間取引報告書にも停止の旨が記載される予定である


NISAは税務申告の中心論点ではない一方、資産形成相談や相続・贈与の文脈で触れる機会が増えています。そのため、こうした制度改正も最低限押さえておくと、顧問先への情報提供の幅が広がります。


まとめ

令和8年度税制改正では、NISAについて令和9年1月1日から所在地確認が廃止されます。現行では、新NISAやつみたてNISAについて、口座開設後10年経過時およびその後5年ごとの基準経過日に、金融商品取引業者等が郵送等で氏名・住所を確認する仕組みがありました。


しかし、この確認は金融機関・利用者双方に負担が大きく、確認ができないと新規買付ができなくなる等の問題があったため、今回の改正で廃止されることになりました。もっとも、廃止後も、金融商品取引業者等は住所変更の有無等を確認し、一定期間内に非課税口座異動届出書の提出等がない場合には、上場株式等の受入れ停止等の対応を行う予定です。さらに、その年の非課税口座年間取引報告書には取引停止の旨等が記載される予定とされています。


今回の改正は、NISA利用者にとって手続負担の軽減につながる一方、住所変更時の届出が不要になるわけではない点に注意が必要です。今後も、引っ越しや氏名変更があった場合には、金融機関への届け出を忘れずに行なうことが大切です。




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