65万円の青色申告特別控除、適用の新要件とは?
- yasuda-cpa-office
- 7月18日
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おはようございます!代表の安田です。
個人事業主やフリーランスにとって大きな節税効果を持つ「青色申告特別控除」。その中でも、控除額が最大となる65万円控除の適用要件が、令和9年分の所得税から変更されることが決まりました。
この改正により、これまで以上に「電子取引データの保存体制」が重要になります。今回は改正の内容と実務上の対応ポイントを分かりやすく解説します。
■ そもそも「65万円控除」の現行要件は?
青色申告特別控除は、以下の2パターンで構成されています:
控除額 | 要件概要 |
55万円 | 正規の簿記に基づいた帳簿で記帳していること |
65万円 | 上記に加え、優良な電子帳簿保存またはe-Taxで電子申告していること |
これまでは、帳簿の整備と電子申告の実施が主な条件でした。
【改正】新たに加わる「③システム要件」
令和7年度改正により、65万円控除の要件に次の項目が追加されました:
「国税庁長官の定める基準に適合するシステムを使用し、一定の保存要件を満たして電子取引データの送受信・保存を行っていること」
この要件は、2023年の「電磁的記録に係る重加算税の加重措置」見直しの一環として導入されたもので、電子取引の透明性とトレーサビリティを確保するための対策とされています。
■ 【結論】令和9年分からは「①+②」または「①+③」が必要!
新ルールでは、以下のいずれかの組合せを満たすことで65万円控除が適用されます:
① 正規の簿記による記帳 + ② 優良な電子帳簿保存 or e-Tax申告
① 正規の簿記による記帳 + ③ 基準適合システムで電子取引データ保存
📌 「①のみ」や「③のみ」では65万円控除の適用は受けられません。
■ 実務への影響と準備すべきこと
今後、65万円控除を継続して受けるには、以下の準備が必要です:
使用システムの見直し → 「国税庁の定める基準に適合」した市販会計ソフト等の使用が前提
電子取引データの保存体制の整備 → PDF・メール請求書・クラウド請求システム等の保存ルールを確認
e-Taxでの申告環境の確保 → マイナンバーカードやICカードリーダーの準備を忘れずに
■ まとめ:65万円控除のカギは“電子化への対応力”
令和9年からの改正で、単にe-Tax申告するだけでは不十分となります。電子取引の取扱い方そのものが控除適用の分かれ目になりますので、事業者の皆さまには早めのシステム確認と保存体制整備をおすすめします。


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