賃上げ税制と助成金の関係
- yasuda-cpa-office
- 12 分前
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おはようございます!代表の安田です。
賃上げを行なった企業への支援措置として導入されている「賃上げ促進税制」。
その適用において、給与に充てられる助成金の取扱いには注意が必要です。特に、助成金の入金が翌期になるケースでも、適用判断は「支給決定日」を基準に行なわれる点は見落とされがちです。
本記事では、助成金の補填額としての扱いと賃上げ税制上の控除判断について解説します。
■助成金が補填額になる条件とは?
賃上げ促進税制において、給与等の支給額から控除しなければならない「補填額」とは、他者(例:国や地方公共団体)から給与の支払いに充てる目的で支給される金額を指します。具体例としては以下のような助成金が該当します:
出向元法人から出向先法人への給与負担金
キャリアアップ助成金
トライアル雇用助成金
人材確保等支援助成金 など
これらは、原則として支給が「決定された日」を基準に、給与支給額から控除する補填額として扱います。
■支給決定日と入金日がズレていても「決定日」で処理
たとえば、3月決算法人が3月25日に助成金の支給決定を受け、実際の入金が4月10日だった場合――この助成金は3月期(旧年度)の給与支給額から補填額として控除する必要があります。
このように、入金タイミングにかかわらず、支給決定日が属する会計期間において処理される点が重要です。
■処遇改善加算は“補填額”に該当しない!
一方で、以下のような処遇改善に関する加算制度については、補填額には該当せず、給与支給額に含めてよいとされています(令和6年度改正):
看護職員処遇改善評価料
介護職員処遇改善加算
ベースアップ評価料 など
これらは、「役務の提供の対価」としての支払いに該当するため、給与支給額として税制上カウントされることになります。
■実務対応のポイント
助成金の会計処理では、「入金日」ではなく「支給決定日」を記録・基準とする
賃上げ促進税制を適用する際は、補填額に該当する助成金を除いた給与等支給額で要件判定する
補助金の交付決定通知書などの文書をきちんと保存しておくことが重要
処遇改善加算との違いに注意し、誤って控除してしまわないよう確認を徹底
■まとめ
賃上げ促進税制を正しく活用するためには、「助成金の補填額としての扱い」と「支給決定日ベースでの処理」を理解し、的確に運用することが求められます。特に、年度をまたぐ助成金については、経理処理のミスや申告誤りを防ぐためにも、事前の確認が欠かせません。

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