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第4回:支出の見直しと固定費削減で「守りの資金繰り」を強化する

  • yasuda-cpa-office
  • 7月24日
  • 読了時間: 3分

おはようございます!代表の安田です。

本日は資金繰りシリーズの4回目です。


資金繰り対策というと、売上増加や資金調達といった「攻め」の施策に目が向きがちですが、実は支出の見直し、特に固定費の削減こそが最も即効性の高い「守り」の戦略です。今回は、経費の棚卸しから支払条件の見直しまで、資金の流出を最小限に抑える実践的な方法をご紹介します。


固定費と変動費、それぞれの特徴と削減のアプローチ

企業の支出は大きく「固定費」と「変動費」に分けられます。

  • 固定費:売上に関係なく毎月一定額発生する支出(家賃、人件費、保険料、リース料など)

  • 変動費:売上に比例して増減する支出(材料費、外注費、配送費など)

資金繰りに直接効いてくるのは固定費です。毎月確実に出ていくこれらのコストを見直すことで、キャッシュの滞留を増やし、手元資金の安定につながります。


固定費削減の具体例とヒント

  1. オフィスコストの見直し

    • テレワーク体制が定着している場合は、事務所を縮小・移転する選択肢も有効。

    • フリーデスク制の導入や、共有オフィス(シェアオフィス)活用によるコスト圧縮も検討可能です。

  2. 人件費の最適化

    • 繁忙期・閑散期に応じた労働力の調整(業務委託やパートタイムの活用)

    • 社会保険料負担の見直しや助成金の活用も視野に入れると良いでしょう。

  3. 通信費・サブスクリプションの整理

    • 使っていないサービスの洗い出し(会計ソフト、クラウドストレージ、ビジネスツールなど)

    • 年額契約を見直し、月額プランへ一時的に切り替えることも有効です。

  4. 保険・リース契約の再確認

    • 保険料の割引制度や見直しで削減が可能な場合あり

    • 機器リースについては、使用頻度や必要性を再検討し、中古購入・買い取りも選択肢となります


支払条件の見直しと交渉術

売上入金よりも先に仕入支払が発生する「資金の逆転」は、資金繰り悪化の原因となります。そこで仕入先や業者との交渉を通じて、以下のような見直しが可能です:

  • 支払サイトの延長:現行条件よりも10日~30日延ばすだけで資金繰りの余裕が生まれます。

  • 分割払いの導入:一括支払いが重荷になっている経費は、複数回に分けて支払うことでキャッシュ・フローを平準化できます。

  • まとめ払いによる割引交渉:逆に資金に余裕がある月は、まとめて支払うことで値引きを得られる場合もあります。

重要なのは、「交渉のタイミング」と「信頼関係」です。早めに事情を説明し、真摯に対応することで、柔軟に応じてくれる取引先も多く存在します。


月次経費モニタリングと予算管理

支出の見直しは一度きりで終わらせず、継続的に実行していくことが大切です。

  • 毎月の経費実績を一覧にし、前月・前年と比較する

  • 異常値(急増・急減)を発見したら原因を確認する

  • 経費ごとに予算を設定し、運用管理する


また、全社的な取り組みとして「経費削減月間」や「定期レビュー会議」を実施することで、経営層と現場の意識を統一することも可能です。


まとめ:守りの資金繰りが企業を強くする

支出の見直しは、事業の成長ステージを問わず実践できる、もっとも基本で本質的な資金繰り改善策です。特に固定費は企業の体質を表すバロメーターでもあり、ここに手を入れることは経営改善そのものです。


次回はいよいよ最終回、「補助金・助成金・資本性資金の活用」について詳しく解説します。お楽しみに。




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