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第3回:売掛金回収とファクタリング

  • yasuda-cpa-office
  • 7月23日
  • 読了時間: 3分

おはようございます!代表の安田です。

本日は資金繰りシリーズの3回目です。


資金繰りの改善において、「早期の現金化」は極めて重要なポイントです。特に中小企業では、売上が発生しても実際の入金までに1~2か月のタイムラグがあり、その間の資金繰りに苦しむケースが多く見られます。本記事では、売掛金の早期回収と、売掛債権を現金化する手段である「ファクタリング」について詳しく解説します。


売掛金の回収が遅れるとどうなるか?

売掛金(売上代金の未回収分)が期日通りに入金されないと、以下のような資金繰りリスクが発生します。

  • 支払い資金の不足(仕入、人件費、家賃、税金など)

  • 借入増による利息負担の増大

  • 信用低下による取引停止や仕入条件の悪化

売掛金の回収サイト(支払い期日)が長ければ長いほど、資金の回転が遅くなり、キャッシュ・フローが圧迫されていきます。


売掛金を早期回収するための工夫

現金化までの期間を短縮するために、企業が取るべき施策は次の通りです。

  1. 請求書の迅速な発行

    • 納品後すぐに請求書を発行する体制を整備する

    • 請求漏れや遅れは資金繰りに直結する損失です

  2. 支払いサイトの交渉

    • 取引先と交渉し、支払い条件を月末締め翌月末から20日締め翌月10日などに短縮できないか検討する

    • 特に新規取引先とは柔軟な契約が可能なことも

  3. 支払遅延への迅速な対応

    • 入金が確認できない場合、すぐにリマインド(電話・メール)を行なう体制を作る

    • 定期的な売掛金の残高管理とチェック体制を確立する

  4. 分割払い・前受金の活用

    • 高額案件では、納品前や納品時に一部を前受することも検討できます

    • 契約書に支払条件を明記しておくと後のトラブルを防げます


ファクタリングとは?仕組みとメリット

「ファクタリング」とは、企業が保有する売掛債権(未回収の請求書)をファクタリング会社に売却し、代金を早期に受け取る資金調達方法です。借入ではないため、貸借対照表上の負債にならず、信用に影響を与えにくいという特徴があります。

代表的なファクタリングの種類
  1. 2社間ファクタリング

    • 売掛先に通知せずに実行できる

    • 手数料はやや高め(10~20%が相場)

    • 急ぎで現金化したい場合に適している

  2. 3社間ファクタリング

    • 売掛先の同意を得て行なうため、手数料が低め(1~5%程度)

    • 信用力の高い取引先がある場合に有効


ファクタリングのメリット
  • 即日資金化も可能(スピード重視)

  • 負債として計上されず、財務体質の改善に

  • 資金用途の自由度が高い(借入ではない)


ファクタリングのデメリット・注意点
  • 手数料が高め(特に2社間)

  • 業者選定を誤るとトラブルのリスク

  • 継続利用は経営の根本的な改善にはならない


ファクタリング導入の判断基準と活用シーン

次のようなケースでは、ファクタリングの活用が検討に値します:

  • 一時的な運転資金が不足しており、緊急性が高い

  • 新規プロジェクトの立ち上げで先行投資が必要

  • 銀行融資の審査が通らなかった、または時間がかかる


ただし、繰り返しになりますが、ファクタリングは「緊急避難的」な資金調達手段であり、恒常的な資金繰り対策とは別物です。並行して売掛金回収体制の見直し、収益構造の改善を進めていくことが重要です。


まとめ:売掛債権の早期回収こそ資金繰りの鍵

売掛金の早期回収と、状況に応じたファクタリングの活用は、資金繰り改善において非常に有効な手段です。特に、毎月の資金の動きがタイトな中小企業にとって、現金化のスピードを高める工夫は命綱となります。


次回は、「支出の見直しと固定費削減」をテーマに、コスト管理の実務ポイントをお届けします。



神戸 公認会計士 決算支援 開示書類作成

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