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特別手当を支給したら社会保険料は変わる?

  • yasuda-cpa-office
  • 13 分前
  • 読了時間: 2分

おはようございます!代表の安田です。


企業が従業員の年末年始やGWの出勤に対して感謝の気持ちを込めて「特別手当」を支給するケースがありますが、社会保険料の算定に影響が出る可能性があることをご存じでしょうか?今回は、「標準報酬月額」の見直し=「随時改定」について解説します。


■標準報酬月額とは?

まず、標準報酬月額とは、健康保険や厚生年金保険の保険料を計算するために用いられる基礎となる金額です。給与や各種手当などの「報酬月額」を等級区分に当てはめて決定されます。

たとえば、厚生年金保険では、報酬額に応じて1等級から31等級まで分かれており、基本的には毎年4月~6月の報酬平均をもとに9月に決定されるのが通例です(これを「定時決定」と呼びます)。


■「随時改定」が必要になるのはどんなとき?

特別手当などによって、報酬に固定的な変動があった場合には、「随時改定(随時改定届)」の対象となる可能性があります。これは、定時決定を待たずに、報酬額に基づく社会保険料を早期に見直す制度です。

以下の条件をすべて満たすと、「随時改定」が必要になります​:

  • 固定的賃金(基本給や手当など)に変更があった

  • 変更月を含めた3ヵ月の平均報酬額が、従前と比べて2等級以上の差がある

  • その3ヵ月間で、各月の支払基礎日数が17日以上である


■特別手当を一時的に支給した場合の注意点

たとえば、年末年始特別対応として「12月と1月だけ月額10万円の特別手当を支給」し、2月で廃止したとしましょう。このケースでは以下の2回、固定賃金に変動があったことになります:


  1. 12月に支給を開始した時点(増額)

  2. 2月に支給を終了した時点(減額)

それぞれの変動月から3ヵ月の報酬平均を基に、2等級以上の差があれば、7月(増額分)と9月(減額分)から標準報酬月額が変更される可能性があるのです。

以降、特に固定的賃金に変更がなければ、9月の決定が翌年8月まで適用されることになります。


■実務上のポイント

  • 一時的な支給でも「固定的賃金」として扱われる場合があるため、事前に随時改定の対象かを確認することが重要です。

  • 届出が遅れると、保険料の追徴や返還が生じることもあるため、変更があったら速やかに手続きを行いましょう。

  • 給与計算や人事部門だけでなく、経理・税務部門とも連携しておくとスムーズです。


■まとめ

特別手当は従業員への感謝と支援の象徴ですが、社会保険実務においては「随時改定」の対象となる可能性があるため、扱いには注意が必要です。支給のタイミングや金額、期間によっては、意図しない保険料の増減が発生することもあります。




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