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新リース税制とフルペイアウト要件の見直し

  • yasuda-cpa-office
  • 5 日前
  • 読了時間: 3分

おはようございます!代表の安田です。


今回は、令和7年度税制改正により見直された リース取引の判定基準について解説いたします。特に「フルペイアウト要件」に関する変更は、企業の実務対応に大きな影響を及ぼす可能性があります。


1. 改正の背景

新リース会計基準の導入に伴い、会計上のファイナンス・リースと法人税法上のリース取引判定に齟齬が生じていました。従来は法人税法上、フルペイアウト要件を「賃借人が支払う賃借料の合計額が、通常必要とされる取得価額の90%を超えること」と規定していました。しかし会計基準では、

  • 現在価値基準(リース料の現在価値が資産購入価額の90%以上)

  • 経済的耐用年数基準(リース期間が経済的耐用年数の75%以上)

    のいずれかを満たす場合に、ファイナンス・リースと判定されていました。

この不一致を解消するため、法人税基本通達が改正され、会計と法人税の両面で整合性が図られました新リース リース取引判定でフルペイアウト要件に新基準を追加|3…。


2. 新たなフルペイアウト要件の整理

改正後の取扱いは以下のとおりです。

  • 対象企業(上場企業等)会計上の「現在価値基準」または「経済的耐用年数基準」のいずれかに該当する場合、法人税法上もフルペイアウト要件を満たすとされます。

  • 中小企業等(新リース会計基準の適用外)新基準による判定は不要であり、従来どおり法人税法上の基準で判定可能です。その結果、経済的耐用年数基準に該当していても、オペレーティング・リースとして処理できる余地が残されています。


つまり、大企業は会計と税務の一体化が進みますが、中小企業については柔軟な取扱いが認められています。


3. 実務への影響

  1. 上場企業等の会計処理と法人税の一致

    決算と税務申告での整合性が高まり、従来の「会計ではファイナンス・リースだが、法人税ではオペレーティング・リース」という差異は基本的に解消されます。

  2. 中小企業の選択肢の維持

    新リース会計基準の適用外となる中小企業は、引き続き法人税法上の従来基準を適用できるため、過度な事務負担増を避けられます。

  3. リース契約時の留意点

    契約内容が「リース期間」や「リース料の現在価値」に及ぼす影響を十分に検討し、会計と税務の両面で一貫性のある処理を行うことが求められます。


4. まとめ

今回の改正により、リース取引における会計と法人税の判定基準が原則として統一されました。特に上場企業等では会計基準と税務基準の整合が進み、実務の透明性が高まります。一方で、中小企業については従来の柔軟性が維持されることから、事業規模に応じた対応が可能です。


リース契約を検討される際や既存契約の見直しにあたっては、ぜひ専門家にご相談ください。当事務所でも、契約形態の判定や税務処理方法についてのご相談を承っております。




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