居住用賃貸建物の消費税取扱い②
- yasuda-cpa-office
- 9月28日
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おはようございます!代表の安田です。
前回に引き続き、国税庁に確認された「居住用賃貸建物の取扱い」に関するQ&Aの後編をご紹介します。今回は、課税賃貸用に供した場合や売却した場合の調整計算について整理します。
1. 調整計算が必要となるケース
居住用賃貸建物について仕入税額控除の制限を受けている場合、次のケースでは調整計算が必要です。
課税賃貸用に転用した場合例:居住用として貸していた建物の一部を事務所用に貸し始めたとき
他の者に売却した場合例:マンションを第三者に譲渡したとき
これらの場合、消費税法第35条の2に基づき、仕入控除税額に加算調整を行なう必要があります。
2. 調整計算の対象外となるケース
一方で、次のような場合は調整計算の対象になりません。
自社の事務所として利用した場合
社宅として無償で使用させた場合
いずれも「課税賃貸用」には当たらず、消費税上の調整は不要です。
3. 具体例:一部を課税賃貸用に変更した場合
例えば、店舗と居住用が混在する建物を取得し、面積比で合理的に区分していたケース。
取得価格:6,600万円(税込)
当初:1階を店舗用、2・3階を居住用として賃貸
後に:2階を事務所用に転用
この場合、課税賃貸用に供した居住用部分に係る金額を計算し、課税賃貸割合を用いて調整額を求めることになります。(例:3,120,000円 ×〔課税賃貸割合 50万円 ÷(50万円+450万円)〕=312,000円を加算)
4. 個別対応方式・一括比例配分方式との関係
個別対応方式を採用している場合:算出額をそのまま仕入控除税額に加算
一括比例配分方式を採用している場合:同様にそのまま加算
➡ いずれの方式でも「課税売上割合を再度乗じる必要はない」点が重要です
5. 申告書への記載方法
居住用賃貸建物取得時の制限額→ 「付表2-3」の⑨欄に含めず記載
調整計算による加算額→ 同付表の[25]欄「居住用賃貸建物を課税賃貸用に供した(譲渡した)場合の加算額」に記載
まとめ
居住用賃貸建物を課税賃貸用に転用・譲渡した場合は調整計算が必要
自社利用や無償社宅は対象外
調整額は方式に関わらずそのまま加算
申告書の記載欄を誤らないことが重要
当事務所では、消費税の仕入税額控除に関する判定や、調整計算を伴う不動産取引の税務処理についてもサポートしております。具体的な案件でお困りの際は、ぜひご相談ください。

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