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外形標準課税における無償減資の調整措置とは?令和6年度改正後も“1年以内の欠損填補”がポイント

  • yasuda-cpa-office
  • 6 時間前
  • 読了時間: 4分

おはようございます!代表の安田です。


令和6年度税制改正では、外形標準課税の対象法人の見直しが行なわれ、資本金だけでなく資本金と資本剰余金の合計額を基準とする新たな考え方が導入されました。


これにより、形式的な減資だけで課税対象から外れることを防ぐ方向がより明確になっています。令和7年4月1日以後開始事業年度からは、前事業年度に外形標準課税の対象であり、当事業年度末の資本金と資本剰余金の合計額が10億円を超える法人が新基準の対象となり、さらに令和8年4月1日以後開始事業年度からは、一定の100%子法人等にも対象が広がるとされています。


こうした改正に関連して、実務上よく問題になるのが無償減資による欠損填補と資本割の調整措置です。今回は、この点を整理して解説します。


外形標準課税の見直しで注意したい背景

今回の改正の背景には、資本金から資本剰余金への振替だけで外形標準課税を回避するようなケースへの対応があります。いわゆる項目振替型減資による課税逃れへの対応等を目的として改正が行なわれたことが示されています。


そのため、単に資本金の額だけを見るのではなく、資本金と資本剰余金を合わせた実質的な資本規模で判定する方向へ制度が見直されました。これは、とくにグループ法人や一定規模以上の会社にとって重要な改正です。


無償減資の調整措置とは何か

外形標準課税のうち資本割は、「資本金等の額」を基礎として計算されます。

もっとも、会社再生や財務体質の改善のために行なう無償増資・無償減資まで、そのまま課税標準に反映させるのは適切でない場面があります。そこで設けられているのが、いわゆる無償増減資の調整措置です。


外形標準課税の対象法人が無償増資や無償減資による欠損填補を行った場合には、この調整措置により資本割の課税標準となる「資本金等の額」を調整すると整理されています。


無償減資による欠損填補はいつでも控除できるわけではない

ここで特に注意したいのが、無償減資による欠損填補に関する控除には期間制限があるという点です。


平成18年5月1日以後に剰余金による欠損填補を行なった場合、控除の対象となるのは、資本金または資本準備金を減少させてその他資本剰余金として計上した日から1年以内に、欠損填補に充てた金額に限られます。


つまり、減資の事実があれば常に資本割の軽減が受けられるわけではありません。

「減資」と「欠損填補」のタイミングが近接していることが、制度適用の重要なポイントになります。


過去の減資による欠損填補は対象外

実務では、以前に資本金や資本準備金から振り替えていたその他資本剰余金を、後日になって欠損填補に使うケースもあります。ただし、資料では、減資から欠損填補までの期間に会社法上の制限がないとしても、資本割の無償減資の調整措置については「1年以内」という要件があるため、無制限には適用されないと説明されています。外形標準課税の対象法人の拡大を受けて、過去の減資による欠損填補も対象とすべきだという声はあるものの、現状では1年以内が適用要件です。


また、振替から欠損填補までが1年以内であれば「資本金等の額」からの控除が可能で、1年を超える場合は控除できません。


実務上のチェックポイント

この論点は、決算対策や再建型の資本政策を検討している会社にとって見落としやすい部分です。とくに、次のような点は事前に確認しておきたいところです。


まず、外形標準課税の対象法人に該当するかどうかを、従来の資本金基準だけで判断しないことです。令和6年度改正後は、資本金と資本剰余金の合計額や、グループ内支配関係も含めた確認が必要です。


次に、無償減資を行なう場合には、欠損填補の実行時期まで含めてスケジュールを設計することが重要です。減資だけ先に実施し、欠損填補を後回しにすると、資本割の調整措置が使えない可能性があります。


さらに、過去に実施した減資について「今からでも使えるのではないか」と考えがちですが、現行の取扱いではそうした期待は持ちにくく、既存のその他資本剰余金を事後的に欠損填補へ充てても、資本割の軽減につながらないケースがある点に注意が必要です。


まとめ

令和6年度税制改正により、外形標準課税の対象法人は段階的に拡大しています。その一方で、無償減資の調整措置については、改正後も引き続き「振替から1年以内の欠損填補」が重要な要件とされています。過去の減資による欠損填補まで広く認められるわけではないため、資本政策や再建スキームを検討する際には、税務上の適用要件を十分に確認する必要があります。


外形標準課税は、資本金の形式だけでは判断できない場面が増えています。無償減資や欠損填補を予定している場合は、会社法上の手続だけでなく、地方税上の資本割への影響まで含めて事前に検討することが大切です。




神戸 公認会計士 決算支援 開示書類作成

 
 
 

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