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フリーレント契約の会計と税務の取扱いの違い

  • yasuda-cpa-office
  • 9月26日
  • 読了時間: 2分

おはようございます!代表の安田です。


企業が不動産を賃借する際、「フリーレント期間(賃料無償期間)」を設ける契約は一般的になっています。

しかし、同じ取引であっても、会計上の処理と法人税上の処理が異なる点に注意が必要です。特に既に締結済みの契約については、適用関係を誤ると税務リスクにつながりかねません。


会計上の取扱い

会計基準では、フリーレント期間を含めた契約全体の賃料を総額で均等配分する方法をとります。たとえば、1年間のうち3か月がフリーレントで、残り9か月分の賃料を支払う契約であれば、12か月分に均して費用計上します。これにより、経済的実態をより正確に財務諸表へ反映させることができます。


法人税上の取扱い

一方、法人税法上は「発生主義」を基本としつつも、フリーレント期間の賃料はそもそも債務が確定していないため費用計上不可とされています。つまり、賃料の支払義務が生じた時点で費用計上(損金算入)することになります。

このため、会計上と税務上で一時的に損益が乖離し、申告調整(別表四・別表五の調整)が必要となります。


既契約分への適用の考え方

今回の見直しでは、新しい解釈が既契約分にさかのぼって適用されるのかが焦点となりました。基本的には、適用開始日以降に開始する事業年度の取引から適用とされ、既に決算・申告済みの契約については遡及修正を求められるものではありません。


実務上の留意点

  1. 会計と税務の違いを整理決算書と申告書の整合性を保つため、フリーレントの取扱いを社内マニュアルに明記しておくことが有効です

  2. 契約書の確認を徹底賃料条件の記載内容(フリーレントの有無・期間・開始日等)を正確に把握し、処理の基礎とすることが重要です

  3. 税務調査での説明準備会計処理と税務処理が異なる理由を説明できるよう、仕訳・契約書・社内規程をセットで整理しておくと安心です


まとめ

フリーレント契約は、企業にとってメリットがある一方で、会計と法人税で異なる処理を要するため、注意が欠かせません。特に、既契約分の扱いについては「どの事業年度から適用されるのか」を正しく理解することが実務上のポイントです。


当事務所では、フリーレントを含む不動産賃貸契約に関する税務・会計処理のご相談を承っております。契約内容や決算・申告に関する不明点があれば、お気軽にご相談ください。




神戸 公認会計士 決算支援 開示書類作成

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